【ディスクリプション】
バスケットボールにおいて、正確なパスはチームの得点力を飛躍的に向上させ、試合の流れを大きく左右します。
質の高いパスは、個人のスキルアップはもちろん、チーム全体のパフォーマンス向上に不可欠です。この記事で学んだことを日々の練習に取り入れ、あなたのパススキルを次のレベルへと引き上げましょう!
「ボールをもらってもパスをどこに出せばいいか分からない」
「味方の動きに合わせてパスを出すのが遅れる」
「パスを出してもDFにすぐ取られてしまう」
このような悩みを抱えている選手の方も多いのではないでしょうか?
正確なパスは「簡単なシュート」や「高確率のチャンス」を生む土台になります。
結果として、試合の勝敗にも大きな影響を与えます。に強く関係する要素になります!
ただ、パスを出すのにリスクを取りすぎても、逆にターンオーバー(相手にボールを取られたりして攻撃権が相手に移ること)から簡単に2点を奪われてしまうこともあります。
今回の記事では、パスの重要性をデータとNBAトップ選手のプレーを見て、パスを得点に繋げるための駆け引きなどを紹介していきたいと思います!
<目次>
1 バスケットボールで得点に繋げるパスとは?
・駆け引きを制して得点チャンスを見極めるパスの考え方
・DFを惹きつけて数的優位を作り出す鍵とは?
2 アシストを生むパス技術:タイミング・視野・判断
・ポジション別のパスの出し方(ガード・スコアラー・ビッグマン)
3 アシストとターンオーバーとの関係性とは?
・アシストとターンオーバーの関係性とその指標
・AST/TOV比で見る優秀なゲームメイカーの条件
4 まとめ|アシスト力を伸ばすパスの極意
よくある質問と練習のポイント(Q&A)
1 バスケットボールで得点に繋げるパスとは?
バスケットボールにおいて、パスはオフェンスを組み立てる上で欠かせない技術です。ドリブルよりも早くボールを移動させることができるため、よりDFを崩しやすかったりします。
パスの質によって、シュート動作へスムーズに移行できるのでパスの重要性は見た目以上に高いと言えます。
バスケットボールにおいて1番簡単に得点が取れる場面がDFのいないノーマークのゴール下でのシュートです。これは1番得点できる確率が高いため、バスケットをしている人なら1番狙いたいシュートになります。
簡単な話、速攻の2対1の場面でボールを持っているプレイヤーにDFが寄ってきたから空いている味方にパスを出す。これだけでDFのいないノーマークのシュートを作り出せます。

逆にDFが中間で守っていたり、ボールマンに寄ってこなければ自分でシュートを狙いに行く。これだけで簡単に得点が狙えます。

簡単なシュートを生み出す鍵。それは「状況判断の駆け引き」と「数的優位」です。
今回はこの2つのポイントにピックアップしつつ、パスの重要性を学んでいきましょう!
駆け引きを制して得点チャンスを見極めるパスの考え方
では実際にDFとの駆け引きを制して、簡単に得点チャンスを生み出すパスを出せるようになるのでしょうか?
その答えは「他の動作の可能性を誘うこと」です。
「シュートを打たれるかもしれない」「ドリブルで抜かれるかもしれない」
このようにDFが複数の選択肢を想定するだけで得点に繋げるチャンスが生まれやすくなります。
元NBA選手で駆け引きを駆使したアシストが得意な選手だったラジョン・ロンドから駆け引きをしながらパスを通すコツを学んでみましょう!
パスフェイクやドリブルのリズムを変える、視線を変える、スピードを変えるなど、様々な駆け引きになります!
ぜひ駆け引きの場面を想定しながら日頃の練習で取り入れてみてください!
DFを惹きつけて数的優位を作り出す鍵とは?
バスケットボールはコート上で5対5で行われる競技です。基本的には1人に対して1人DFがいるので数的優位なんてどうやって作るんだ?と感じた方もいるのではないでしょうか?
しかし、数的優位の状態は想像よりも簡単に作り出すことができます!
ここでは、数的優位が起こりやすい状況についていくつか紹介していきたいと思います!
1.速攻の場面
試合で1番数的優位になりやすい状況はDFでボールを奪って速攻の場面です。
リバウンドを取った後やボールをスティール(ボールを奪う)した後は1対0または2対1などの数的優位を作りやすいです。
この状況が1番簡単なシュートを作り出しやすいので、速攻の場面ではボールをどんどん前に出してあげたり、1人でも多く攻撃に参加できるように頑張って走ってあげたりしましょう。
2.DFが2人以上寄ってきた状況
ボールを持っている選手にDFが2人以上ついた時や警戒している時はどのような状況になるでしょうか?例えば、ボールマンがDFを抜いて他の選手がDFの助け(ヘルプディフェンス)に参加した場合、ヘルプディフェンスに入った選手がついていた選手はノーマークになりますよね?
つまり、ボールマンについていたDFが不利になった時に他の選手がヘルプディフェンスに行かなければいけなくなる状況は数的優位が作りやすい状況になります。
1人ひとりが積極的にドリブルでアタックする姿勢を見せることも得点に繋げるためには大切になります。
ちなみにバスケ中継などでよく見る「ピックアンドロール」というプレーも2対1を作って攻める数的優位を利用した攻撃手法となります。
NBAで2024-25シーズンにアシスト王を獲得したトレイ・ヤングのプレーから、数的優位の攻め方を学んでいきましょう!
【この章の要点まとめ】
バスケットにおいて、1番作りたいシュートは「ノーマークのシュート」
DFとの駆け引きは 他の動作を想定させることで制することができる
数的優位は、ボールマンについているDFが不利になった際に起こりやすい
2 得点に直結!アシストを産むパスのタイミングと出しどころ
DFの影響が少ない、受けていないシュートをどれくらい作り出せるかはとても大事です。
アシストとは、パスを受けた選手がそのままスムーズに(キャッチからのシュートやステップに合わせてワンドリブルしてシュートなど)得点を決めた時に記録されるバスケットボールの主要項目のひとつです。
つまりアシスト数が多いチーム=簡単なシュートを作っている回数が多い傾向があります。(レベルが上がってくるとしDFがいる状態でもシュートを決められる選手が増えてくるため、一概には言い切れませんが)
ポジション別のパスの出し方!
自分が担っているポジションによっても、パスの出し方、アシストの作り方に違いがあるので、今回は大きく、ガード、スコアラー、ビッグマンと3種類に分けて紹介していきたいと思います!
ガードプレイヤーのパスの出し方
ポイントガード(PG )、シューティングガード(SG )のプレイヤーが該当します。
主にスリーポイントラインの外から攻めることが多いポジションでもあり、ゲームのコントロールが求められます。
【ガードプレイヤーのパスの出し方のコツ】
①ノーマークの味方を見つけてあげる
②味方の得意エリアで攻撃できるようなパス
③自分でゴールにアタックして、味方の得点チャンスを作り出す
詳しくは動画で解説しているので、ぜひご覧になってください!
スコアラーのパスの出し方
主にチームの得点源になるシューティングガード(SG )やスモールフォワード(SF)の選手が該当します。
得点を取ることが役割になるので、捉え方を変えるとDFの注目が集まりやすい選手にもなります。そこを逆手に取って数的優位を作りやすい選手であることも頭に入れておきましょう!
スコアラーのパスの出し方
①ドライブに合わせてアシストをする
②自分を起点にプレーを展開するパス
シュートフェイントやドライブを使ってアタックする意識を持つと数的優位からゴール下やコーナーの味方にアシストできるので、ぜひ練習から意識してみてください!
ビッグマンのパスの出し方
パワーフォワード(PF )やセンター(C)のインサイドをメインにプレーする選手たちです。
インサイドでポストアップ(ゴール下でゴールに背中を向けてボールを持って攻めるプレー)からプレーしたり、ガードの選手などにスクリーンをかけたりして攻めやすくするのが主な役割です。
ビッグマンのパスの出し方
①ポストアップして起点を作る
②ピック&ロールから展開する
③ハンドオフスクリーンから起点を作り出す
ポストアップした際は、そこが起点になるイメージで、味方のカッティングプレーや逆サイドからの合わせなど、臨機応変に対応できる準備と実践をイメージした練習が重要になります。
ポストでボールを持った時、味方がどこにいるとノーマークが作りやすいか、どう展開できるかをしっかり経験して、柔軟に対応できるように意識しましょう!
【この章の要点まとめ】
ガードの選手は、ゲームをコントロールして味方に気持ち良く得点を取らせてあげるイメージでパスを出す
スコアラーの選手は、常に自分が得点を取りに行くつもりで、隙があればパスを出すことが大切
ビッグマンの選手は、チームによって求められるスタイルは異なるが、ポストアップから起点を作ったり、ハンドオフスクリーンからチームの攻めやすい状態を作り出す
3 アシストとターンオーバーとの関係性とは?
ここまでの内容で、アシストを意識する重要性について伝えてきましたが、どんなにアシストが多いプレイヤーでも、自分たちの攻撃権を失ってしまうターンオーバーが多いと意味がありません。
ここでは、ターンオーバーにおける覚えておきたい基礎知識とアシストとの関係性について伝えていきたいと思います。
アシストとターンオーバーの関係性とその指標
まずはターンオーバー(以下TOV )としてカウントされてしまうプレーについて
DFのスティール(ボールを奪われる)、トラベリングやダブルドリブル、ショットクロックオーバータイムなどのヴァイオレーションが主に該当します。
TOVはできるだけ増やしたくない項目ではありますが、いい形でオフェンスが展開されていく中で通らなかったパスや積極的に攻めた上でのTOVはポジティブに捉えられる場面もあります。
最悪なのがDFのスティールやパスカットによって試合時間が止まらないで攻撃権を失う「ライブTOV」は、相手の速攻の状況になりやすいので、注意が必要です。
AST/TOVで見る優秀なゲームメイカーの条件
「Assist to Turnover Ratio (AST/TOV)」とは、アシストとTOVを割って、自分のプレーがどのくらいアシストにつながっているかを指す指標です。
パスを多く供給する選手は、理論上ボールが手から離れることも多いため、TOVをしてしまう確率も自ずと高くなってしまします。
この指標は計算で求めることができ、「AST /TOV=AST ÷TOV」で算出できます。
NBAは平均10.1得点、2.2アシストがリーグの平均になるので、計算すると4.5ast/tovがリーグの平均となります。
この数値が高い選手は、より少ないミスで正確なアシストをさばいている、素晴らしいゲームメーカーだと言えます!
実際にNBAの今シーズン(2024-25シーズン)のアシストランキングTOP3とAST/TOVのTOP3をみてみましょう!
<アシストランキングTOP3(1試合平均)>
1位 トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス/PG) 11.6ast (4.7tov)
2位 ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ/C) 10.2ast(3.3tov)
3位 タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ/PG) 9.2ast(1.9tov)
次はAST/TOVのTOP3をみてみましょう
<AST/TOV TOP3> *65試合以上出場した選手が対象
1位 タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ/PG) 5.61ast/tov
2位 タイアス・ジョーンズ(フェニックス・サンズ/PG ) 4.71ast/tov
3位 クリス・ポール(サンアントニオ・スパーズ/PG) 4.69ast/tov
このように、アシスト数が多いプレイヤーでもAST/TOVで算出してみると、全員がタイリース・ハリバートンが最もミスなく安定してアシストを供給しているプレイヤーだということが分かります。
逆にアシストランキングTOP2だった選手のAST/TOVを見てみると、
トレイ・ヤング 2.48ast/tov
ニコラ・ヨキッチ 3.11ast/tov
逆にアシスト数が多くてもTOV数が多ければ、AST/TOVが低くなって、いいゲームメーカーとは言えません。
日頃の練習から、アシストを狙う意識を持ちつつ、TOVは犯さないように徹底することが、チャンスを見逃さないアシストを通す鍵になります!
ぜひ練習から意識してみてください!
【この章の要点まとめ】
アシストが多い=優れたゲームメーカーではない
TOVは完全に無くすことはできないが、いい攻撃の中で起こるTOVの中には、ポジティブに捉えられるTOVもある
AST/TOVはアシスト数とTOVを割った比率で、自分のパスがどれくらいアシストに繋がっているかの指標。アシストの多さとTOVの少なさが優れたゲームメーカーの鍵になる!
4 まとめ
・得点に繋げるパスを出すためには、駆け引きを制することと数的優位を効果的に作り出すことが大切
・ポジションによってパスの目的が異なるため、それぞれのポジションに合ったパスの状況判断を体で覚えることが重要
・ただASTが多い選手が優秀なゲームメーカーと呼べるわけではなく、TOVの数も減らしていくことが重要になる
今回はパスの中でも、「アシスト」をするという部分に着目して紹介しました!
アシストの意識は、試合経験や練習量による経験でどんどん上手くなっていきます。
最初の頃は、自分がどんな動きをした時にチャンスが作りやすいかを考えながら、TOVを恐れず、どんどんパスを出していきましょう!
できるようになったら、次は状況に合わせたパスの種類の選び方を学んでいきましょう!
今回の記事で学んだことを日々の練習や自主練で取り入れて実践してみてください!
Q.よくある質問
- アシストを増やすには何から練習すればいいですか?
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ドリブル中に視野をしっかり確保することと、ノーマークの味方を見極める判断力が重要です。ゲーム形式の練習中に「どこに動けばノーマークが作りやすいか」「誰が空いているか」をしっかりコミュニケーションを取って把握していくことから始めましょう!
- AST/TOVは中学生や高校生でも意識すべきですか?
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アシスト数というよりは、TOV数に着目していくと良いでしょう。
特に中高生は試合のペースが早く、ミスも起こりやすいので、いかにミスを少なくするかということは試合の勝敗に直結していきます。
AST/TOVを算出することは、しっかりと得点したい場面で、誰にボールを持たせるとしっかりゲームメークできるかの指標になります。
ですので、指導者はしっかりと数値化しておくことで選手ひとりひとりのプレーの傾向を把握しておくことは重要です!
- TOVはどのように記録すればいいですか?
-
TOVは試合形式の練習や練習試合で記録しましょう!
TOVをした選手、TOVの種類、TOVをした時間帯、状況などをより細かく記録することで後で分析する際により課題が明確になります!
今回はすぐに活用できるTOV記録表をダウンロードをこの記事を最後まで読んでくれた方にプレゼントします!
以下のURLからぜひダウンロードしてください!
https://drive.google.com/file/d/1rLMyMDQBmJqZ6K-cCVzVGOCEdkjbE2ny/view?usp=sharing
使い方も記載してあるので、皆さんのチームの練習でぜひ活用してください!